収録当日オペレーション
最重要ポイント: マイキング
マイキングは収録工程で最も重要な要素です。 適切なマイキングは編集のしやすさから実装後の最終的な音質にまで大きく影響します。マイクの距離・角度・ポップガードの位置は、声優のボリュームや声質に合わせて毎回調整してください。
タイムライン
収録開始前(-30分〜)
- スタジオ入り・機材セットアップ(→ 機材セットアップ)
- テスト収録・レベルチェック
- Pro Tools セッション準備(→ 下記「セッション構成」参照)
- クライアント・キャスト到着対応
- 声優到着後 → マイキング調整(距離・角度・ポップガード位置をその場で合わせる)
収録開始時
- 挨拶・スケジュール説明
- 台本の読み合わせ(必要に応じて)
- テスト録り — マイキング・レベルの最終調整
収録中
- 台本に沿って収録を進行
- テイク管理(下記「テイク管理」参照)
- 番号マーカーの打刻(下記「マーカー運用」参照)
- ディレクション(クライアント・演出と連携)
- こまめにセッション保存(Cmd+S)
- 問題発生時は トラブルシューティング を参照
収録終了時
- 全テイクの確認
- 追加収録・リテイクの確認
- データバックアップ
- キャスト・クライアントへの御礼
収録後
- 音声ファイルの書き出し(下記「書き出し」参照)
- データの整理・バックアップ
- 収録後処理手順 へ
セッション構成(Pro Tools)
推奨トラック構成
| トラック名 | 種類 | 用途 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Aux 1 | Aux | マイクプリからの入力受け。フェーダーは +12dB に設定 | 張りセリフが来た時にいつでも下げられるように |
| Aux 2 | Aux | Arousor(DSP)をインサート | Aux 1 → Aux 2 → Rec トラックの順にルーティング |
| Rec トラック | Audio | 収録用メイントラック | 録音対象 |
| OK トラック | Audio | OKテイクをコピー・移動する | ミュートにしておく(誤再生防止) |
| 別テイクトラック | Audio | 保留・候補テイクの保管 | |
| ゴミ箱トラック | Audio | NGテイク・不要テイクの退避先 |
信号フロー: マイク → マイクプリ → Aux 1(+12dB)→ Aux 2(Arousor インサート)→ Rec トラック
Arousor(コンプレッサー)の基本設定
| パラメータ | 設定値 | 備考 |
|---|---|---|
| Input | -3 dB | |
| Output | 11 dB | |
| Attack | 適宜調整 | 素材・演技に合わせて |
| Release | 適宜調整 | 素材・演技に合わせて |
マイクプリの基本設定
- 左のノッチつまみ: 0
- 右の Gain つまみ: 右へ振り切り
テイク管理のトラック構成は自由にアレンジして構いませんが、上記の Rec / OK / ゴミ箱 / 別テイクの4種構成を基本としてください。
テイク管理
テイク管理の方法は担当エンジニアの裁量に任せますが、以下を推奨します:
- Rec トラック に録音
- OK が出たテイクは OK トラック に落とす(OK トラックはミュート状態を維持)
- NG テイクは ゴミ箱トラック に移動
- 演出の判断待ち・保留のテイクは 別テイクトラック に退避
目指すべきセッション: 誰が見てもわかりやすいセッション。収録した担当者が不在の時でも、別のエンジニアが簡単にデータを引っ張れる状態にしておくこと。
マーカー運用(メモリーロケーション)
番号マーカー
- 台本にセリフの連番が記載されている場合は、番号マーカー(メモリーロケーション) を対応する位置に打つ
- マーカー名 = 台本上の連番(例:
001,002, ...)
補助マーカー(推奨)
- 声優名マーカー: 複数声優を同一セッションで収録する場合、声優交代のタイミングに打つ
- 台本名マーカー: 台本が複数に分かれている場合(「本編」「汎用」「エフォート」等)、切り替わりに打つ
マーカーを適切に打つことで、後の編集工程でのデータ検索性が大幅に向上します。
書き出し(収録終了後)
- 収録が完了したら、音声ファイルを 32-bit float / 48 kHz で書き出す
- FormatList(クライアント指定のフォーマット一覧)に記載された情報を確認
- 書き出したファイルを 共有ドライブの From Japan フォルダへ格納
注意事項
- クライアント別の収録ルールは クライアント別ルール を確認
- 声優交代時は必ずセッション保存 → 新規セッション作成のフローを踏む(→ 失敗談 事例3)