海外案件 PM 業務フロー
このドキュメントについて 海外ローカライズ案件における PM 担当者の実務フローを、受注後から納品完了までの時系列でまとめたものです。 一般的な全体フローは 海外パブリッシャー向け日本語VO収録 を参照。 本書は「PM として何を判断・実行するか」に特化した補完資料です。
⚠️ このファイルは2026-03-16ヒアリング(黄)をもとに作成した初版です。未確認項目が含まれます。
前提:「フル工程版」フロー
案件によって省略される工程がある。このフローは「できる限り全工程を踏む場合」の標準として読むこと。
STEP 0:顧客への確認事項(プロジェクト開始時)
プロジェクト開始時に確定させるべき要件定義。曖昧さを排除し、技術仕様と制作範囲を明確化する。 → 詳細は 海外パブリッシャー向け日本語VO収録 Phase 1 ステップ 6〜10 を参照
チェック
- [ ] 音声仕様書(収録/納品 SR・Bit Depth・マイク・レベル基準・余白設定・納品方法)を確認済みか
- [ ] ワード数・作業量の内訳(カットシーン/インゲーム/エフォート/同期タイプ)を確認済みか
- [ ] 資料・翻訳・アダプテーション要件(息芝居の扱い含む)を確認済みか
- [ ] 演出・キャスティング要件(モブ制限・オーディション形式)を確認済みか
- [ ] 納品・権利関係(タイミング・フォルダ構成・使用範囲)を確認済みか
STEP 0.5:グランドスケジュールの作成
プロジェクトの全体像を可視化し、遅延なき進行を管理する。
- 形式: ガントチャート形式推奨(タスクの依存関係を明確にするため)
- 逆算思考: 最終納期から逆算し、収録日・編集期間を設定
- ポスプロ期間: 収録終了〜納品まで最低5営業日のバッファを設ける
- プリプロタスク: 素材受領・確認 → 資料・ト書き翻訳 → アダプテーション(+監修期間)
- プロダクションタスク: キャスティング・オーディション → 台本フィックス → 各キャラごとの収録日決定
チェック
- [ ] 全タスクにマイルストーンと担当者が設定されているか
- [ ] ポスプロ期間に5営業日以上のバッファがあるか
STEP 0.7:素材の確認と整理
素材の不足や不一致は収録当日の進行停止に直結。受領直後の確認が必須。
- 原音ファイル: 台本の全ダイアログに対し原音ファイルが存在するか。内容は一致しているか
- フォルダ整理: キャラクター or シーンごとにフォルダ分け
- 原音リネーム: 台本の順番に再生できるように連番(個別番号)をつける
- ムービー: 全カットシーンに対してムービーが存在するか。ムービー内の音声は台本と一致しているか
- タイムコード: ムービーにタイムコードが焼き付けられているか。なければ表示させる
チェック
- [ ] 原音ファイルの整合性チェック完了か
- [ ] ムービーの網羅性・一致確認完了か
- [ ] タイムコード表示の確認完了か
STEP 1:受注後の初動
並行して開始する2つの工程:
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| キャスティング | → 海外キャスティング |
| 台本リライト手配 | リライト担当者のアサイン(下記参照) |
チェック
- [ ] キャスティング開始済みか
- [ ] リライト担当者が決まっているか
STEP 2:台本リライト
リライト担当の優先順位(確定)
- 社内演出(最優先)
- アダプテーション / リライト経験者
- 中国案件の場合: ヘリさんへの先行依頼運用(クライアントの温度感・納期次第で判断)
- 今後の方針(暫定): 社外リソースも視野に入れて検討中
⚠️ 社外リソース利用時の正式フローは未整備。利用判断の基準は未確認。
ネイティブチェックの必須化(確定)
台本制作者が日本語ネイティブでない場合は、どの工程に入っていても必ずネイティブチェックを挟む。
| 役割 | 担当位置 |
|---|---|
| ライター | ステップ1(リライト実施) |
| 原文チェッカー | ステップ2(ネイティブチェック) |
チェック
- [ ] リライト担当者は誰か決まっているか
- [ ] 日本語ネイティブチェックが必ず入る体制になっているか
- [ ] ヘリさん運用を使う場合は判断根拠が明確か
STEP 3:台本フィックス・縦台本化
- リライト完了後、台本をフィックスする
- フィックス後に縦台本化する
- 縦台本化の担当者:【未確認】
チェック
- [ ] 台本フィックス済みか(クライアント承認を得ているか)
- [ ] 縦台本化が完了しているか
STEP 4:声優出演依頼メール
タイミング(ケースバイケース)
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 通常 | 台本フィックス後に出演依頼メール送付 |
| 緊急案件 | 台本作業と並行して先に送付する |
メールに必ず記載する内容(確定)
- フィックス期限
- 収録納期
⚠️ フィックス期限と収録納期の標準的な取り方(何日前が目安か等)は未確認
注意:スケジュール提出の例外
事務所や役者によっては「台本がないとスケジュールを出さない」ケースがある。 → この部分はケースバイケースで対応する。
チェック
- [ ] 出演依頼メールにフィックス期限と収録納期が明記されているか
STEP 5:スケジュール確定
必要な全関係者のスケジュールが揃って初めて確定
- [ ] 声優
- [ ] 自社スタジオ
- [ ] 演出(いる場合)
- [ ] 通訳 / アシスタント
- [ ] クライアント(立会い有の場合)
⚠️ 通訳・アシスタント・ディレクターの手配責任者は未確認
スケジュール確定後は即座に社内ツールを更新する(確定)
| ツール | 更新内容 |
|---|---|
| 案件管理シート | 収録スケジュールを記入 |
| スタジオタスク | 収録スケジュールを記入 |
⚠️ 案件管理シート・スタジオタスク・フォーマットリストの正式運用ルールは別途確認が必要
チェック
- [ ] 全関係者のスケジュールが揃っているか
- [ ] 案件管理シートを更新したか
- [ ] スタジオタスクを更新したか
STEP 6:新案件の事前整備
新規案件の場合、遅くとも収録前までに以下を実施する。
- 音声納品フォーマットをクライアントから受領する
- 受領したフォーマットをスタジオタスクのフォーマットリストに貼る
チェック
- [ ] 音声納品フォーマットを受領済みか
- [ ] フォーマットリストへ反映済みか
STEP 7:収録前整備
アジェンダ整備
- アジェンダの変更・更新を行う
- 共有事項を概要欄にできるだけ記載する
- タイトルに必要事項を記入する
⚠️ アジェンダ・概要欄・タイトルの記載ルール詳細は未整備
台本フォルダの整備(確定)
以下をできるだけすべてアップする: - 台本 - 当日用資料 - 当日使う可能性のある資料
チェック
- [ ] アジェンダが更新されているか
- [ ] 台本フォルダに当日必要資料が揃っているか
STEP 7.5:セッション作成指示
エンジニアに対し収録用 Pro Tools セッションの作成を依頼する。 ローカライズ案件特有の収録スタイルについて演出担当者と協議し、最適な方法を決定する。
| 方法 | 名称 | 用途 | 概要 |
|---|---|---|---|
| A | ムービー同期方式 | カットシーン系 | セッション内に動画をインポートし尺合わせ |
| B | 音声リピート方式 | インゲーム系 | 原音を2回ずつ並べて収録 |
- 決定した方法(A or B)に基づき、カットシーン毎・キャラ毎にセッションを組むようエンジニアに指示
チェック
- [ ] 演出担当者と収録方法(A or B)を協議・決定したか
- [ ] エンジニアにセッション作成を依頼したか
STEP 8:収録当日
PM の役割(確定)
| 状況 | PM の役割 |
|---|---|
| 原則 | 通訳として収録に入る |
| 演出がいない場合 | エンジニアと協力してディレクション補助も行う |
チェック
- [ ] 通訳準備ができているか
- [ ] 演出不在の場合、ディレクション補助の体制を確認しているか
STEP 9:収録後(音声チェック)
- エンジニアから納品データを受け取る
- 音声チェックを実施する
- ノイズの有無
- 文言(台本との照合)
- 問題があればエンジニアや現場関係者に確認し、その場で解決を目指す
音声チェックの具体的な基準(許容ノイズレベル等)は 品質基準・QC基準 を参照
チェック
- [ ] 音声チェック済みか
- [ ] ノイズ・文言問題の確認が完了しているか
STEP 10:リネームと納品
- 必要であればリネームを行う
- クライアントへ納品する
リネームルールはクライアントごとに異なる。各クライアントファイルを参照。
チェック
- [ ] リネーム要否を確認したか
- [ ] リネーム完了したか(必要な場合)
- [ ] 納品完了したか
STEP 11:解決不能な問題への対応
編集や文言変更では解決できない問題(演技・品質レベル)がある場合:
- 声優を再招集してリテイクする可能性がある
- 再招集リテイク時の費用・承認フロー:【未確認】
全工程チェックリスト(まとめ)
顧客確認事項
- [ ] 音声仕様書(収録/納品 SR・Bit Depth・マイク・レベル基準・余白設定・納品方法)を確認済みか
- [ ] ワード数・作業量の内訳を確認済みか
- [ ] 資料・翻訳・アダプテーション要件を確認済みか
- [ ] 演出・キャスティング要件を確認済みか
- [ ] 納品・権利関係を確認済みか
グランドスケジュール
- [ ] 全タスクにマイルストーンと担当者が設定されているか
- [ ] ポスプロ期間に5営業日以上のバッファがあるか
素材の確認と整理
- [ ] 原音ファイルの整合性チェック完了か
- [ ] ムービーの網羅性・一致確認完了か
- [ ] タイムコード表示の確認完了か
台本・リライト
- [ ] リライト担当者が決まっているか
- [ ] 日本語ネイティブチェックが入る体制になっているか
- [ ] 台本フィックス済みか(クライアント承認あり)
- [ ] 縦台本化が完了しているか
スケジュール・手配
- [ ] 出演依頼メールにフィックス期限・収録納期が明記されているか
- [ ] 声優のスケジュールが揃っているか
- [ ] スタジオのスケジュールが確保されているか
- [ ] 演出のスケジュールが揃っているか(いる場合)
- [ ] 通訳・アシスタントのスケジュールが揃っているか
- [ ] クライアントのスケジュールが揃っているか(立会いある場合)
社内ツール更新
- [ ] 案件管理シートが更新されているか
- [ ] スタジオタスクが更新されているか
- [ ] 音声納品フォーマットを受領済みか(新案件)
- [ ] フォーマットリストへ反映済みか(新案件)
収録前準備
- [ ] アジェンダが更新されているか
- [ ] 台本フォルダに当日必要資料が揃っているか
- [ ] 収録方法(A: ムービー同期 or B: 音声リピート)を演出と協議・決定したか
- [ ] エンジニアにセッション作成を依頼したか
収録後・納品
- [ ] 音声チェック済みか
- [ ] ノイズ・文言問題の確認が完了しているか
- [ ] リネーム要否を確認したか
- [ ] 納品完了したか
今後の確認事項
- [ ] 縦台本化の担当者
- [ ] フィックス期限・収録納期の標準的な取り方
- [ ] 通訳・アシスタント・ディレクターの手配責任者
- [ ] 案件管理シート・スタジオタスクの正式運用ルール
- [ ] アジェンダ・概要欄・タイトルの記載ルール詳細
- [ ] 音声チェックの具体的な合否基準
- [ ] 再招集リテイク時の費用・承認フロー
- [ ] 社外リライトリソース利用時の正式フロー
- [ ] 見積タイミングとこのフローの前後関係
- [ ] 海外戦略チームとの役割分担の境界
関連ドキュメント
更新履歴
| 日付 | 変更内容 | 担当者 |
|---|---|---|
| 2026-04-09 | ローカライズマニュアルPDFに基づき顧客確認事項・グランドスケジュール作成・素材確認整理・セッション作成指示を追記 | — |
| 2026-03-16 | 初版作成(黄ヒアリング第7回より) |